東京国立博物館
上野公園 · JP
国宝89件・重文653件を擁する日本最古にして最大の国立博物館
東京・上野恩賜公園に建つ東京国立博物館は、1872年(明治5年)創設の日本最古の博物館。本館・表慶館・東洋館・平成館・法隆寺宝物館の5棟で構成され、約12万件の日本・アジア美術を所蔵する東洋随一の文化財の殿堂である。
ベストシーズン・ベストタイム
本館前庭の桜と特別展ラッシュ、春の博物館コンサートも開催される最盛期
★★★★★
庭園特別公開と紅葉、大規模秋の特別展が組まれる文化の秋の本命シーズン
★★★★★
館内冷房完備で猛暑日の避暑名所、夜間開館の金曜土曜が狙い目で空いている
★★★★☆
正月の博物館に初もうで、本館前で獅子舞や和太鼓が披露される風物詩
★★★★☆
見どころ TOP 3
1.帝冠様式の本館(重要文化財)
渡辺仁設計の本館は1937年竣工、鉄骨鉄筋コンクリート2階建てに瓦屋根を載せる「帝冠様式」の傑作。大階段から日本美術の通史を時代順に体感でき、国宝室では1点ずつ最高峰の名品が4-8週ごとに入替展示される。
正面ロータリーから本館全景を縦構図で、左右対称の瓦屋根を強調
2.ネオバロックの表慶館(重要文化財)
片山東熊設計の表慶館は1909年開館、後の大正天皇の御成婚を祝して建てられた石造ネオバロック様式の名建築。中央ドームを戴く左右対称構成と入口を守る青銅獅子像が見事で、現存する明治洋風建築の白眉として親しまれる。
正面青銅獅子像を前景に中央ドームを望遠で圧縮構図
3.東洋館のアジア美術回廊
1968年開館の東洋館は谷口吉郎設計のモダニズム建築で、2013年にリニューアル。中国・朝鮮・インド・東南アジア・西アジアの美術品を網羅し、ガンダーラ仏やシルクロード美術、敦煌壁画断片など東博ならではの大陸コレクションを堪能できる。
東洋館外観の水平線美を1階エントランスから引き構図で
物語・伝説
こんな人におすすめ
現地で知るべき豆知識
- 1.本館2階「日本美術の流れ」を時代順に見て1階で工芸・刀剣・近代美術を見るルートが王道で所要2-3時間が目安。国宝室は4-8週ごとに1点入替えで何度通っても新発見があり、繰返し訪問が楽しい。
- 2.庭園は春と秋に期間限定特別公開され池畔の5棟の茶室や石灯籠を散策できる穴場の名所。本館裏手から入場でき、特別公開時は別料金不要で常設入館券で楽しめるので必訪の隠れスポット。
- 3.毎週金土曜は夜間開館(20時まで)で空いており、ライトアップされた本館外観を撮れる絶好機会。隣の上野公園の桜・紅葉ライトアップと合わせれば1日で東京の文化と季節を満喫できる。
訪問情報
- アクセス
- JR上野駅公園口から徒歩約10分、または東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅から徒歩約15分。京成上野駅・京成本線からも徒歩約15分でアクセス良好、上野公園内なので動物園・科学博物館・西洋美術館との回遊も容易。
- 所要時間
- 本館中心なら2-3時間、5棟全制覇なら半日(4-5時間)以上
- 予算目安
- 一般入館料1000円(2024年時点、特別展は別途1500-2500円)+往復交通費500円+昼食1500円で計3000-5000円程度。詳細は公式サイトで確認。
周辺観光
上野公園内には国立科学博物館・国立西洋美術館(世界遺産ル・コルビュジエ設計)・恩賜上野動物園・東京都美術館・上野東照宮・寛永寺・不忍池が徒歩圏に集中。アメ横商店街までも徒歩10分で、博物館巡りと下町散策を1日で堪能できる東京随一の文化エリア。
詳しく知る
時間のある方向けの詳細情報。
年表
- 1872年
湯島聖堂博覧会で創設
文部省博物局が湯島聖堂大成殿で日本初の博覧会を開催。20日予定を延長し総入場15万人。東京国立博物館はこの年を創設年とする。
- 1882年
上野で開館
ジョサイア・コンドル設計の煉瓦造本館で上野開館。明治天皇行幸を得て3月20日に開館式、附属動物園も同時開園。
- 1889年
帝国博物館と改称
東京・京都・奈良の3拠点体制が決定。歴史・美術工芸の博物館として性格を強める。岡倉天心が美術部長に就任。
- 1909年
表慶館開館
片山東熊設計のネオバロック様式・表慶館が皇太子(後の大正天皇)御成婚記念として開館。後に重要文化財に指定される。
- 1923年
関東大震災で本館焼失
コンドル設計の本館・2号館・3号館が震災で大破。以後10数年間、展示は表慶館のみで継続される試練の時代。
- 1938年
帝冠様式の現本館開館
渡辺仁設計、設計競技273点から選ばれた現本館が11月開館。和洋折衷の帝冠様式を確立、後の重要文化財に指定。
- 1945年
東京大空襲で閉館
3月10日の東京大空襲で閉館。宝物は群馬・福島等へ疎開し焼失を免れる。翌1946年3月24日に観覧再開。
- 1947年
国立博物館と改称
新憲法公布の日に「帝室博物館」から「国立博物館」へ改称、宮内省から文部省へ移管。国民のための博物館への転換。
- 1965年
ツタンカーメン展
295万人来場のツタンカーメン展で社会的話題を呼ぶ。1974年のモナ・リザ展(151万人)と並び戦後の博物館ブームを牽引。
- 1968年
東洋館開館
谷口吉郎設計の東洋館が開館、日本以外のアジア美術品を移す。シルクロード美術・ガンダーラ仏の体系展示を実現。
- 1999年
平成館・新法隆寺宝物館開館
考古展示と特別展会場を備えた平成館、レストランと資料室を備えた新法隆寺宝物館が相次いで開館し5棟体制完成。
- 2007年
国立文化財機構移管
独立行政法人国立文化財機構の施設となり、京都・奈良・九州の各国立博物館と一体運営に。組織再編で効率化を実現。
- 2022年
創立150周年
創立150周年を記念し平常展国宝89件を一堂に公開する「国宝展」を開催。全国から美術ファンが集う節目の年に。
歴史をもっと深く
東京国立博物館の起源は1872年(明治5年)3月10日、文部省博物局が湯島聖堂大成殿で開催した日本初の博覧会に遡る。翌1873年(明治6年)のウィーン万国博覧会出品予定品を中心とした展示は、20日の予定を延長して4月末まで開催され、総入場者数15万人を記録。同年「文部省博物館」が太政官「博覧会事務局」に併合され、場所も内山下町(現千代田区内幸町)に移転した。1875年(明治8年)に「博物館」と改称、内務省管轄となり、1876年(明治9年)に薩摩藩出身の町田久成が初代館長に就任。1877年(明治10年)上野の寛永寺本坊跡で第1回内国勧業博覧会が開催され、博物館の上野移転が太政官より裁可された。1881年(明治14年)、ジョサイア・コンドル設計の煉瓦造2階建本館が完成、1882年(明治15年)3月20日に明治天皇の行幸を得て上野で開館。同時に附属動物園(現恩賜上野動物園の前身)も開園した。1889年(明治22年)「帝国博物館」と改称、京都・奈良にも姉妹博物館設置が決定。1900年(明治33年)「帝室博物館」と改称、皇太子(後の大正天皇)成婚記念として片山東熊設計のネオバロック様式・表慶館が計画され、1908年(明治41年)竣工・翌1909年(明治42年)開館した。1923年(大正12年)関東大震災でコンドル設計の本館・2号館・3号館が大破。1928年(昭和3年)昭和天皇大礼を機に復興翼賛会が設立され、設計競技で273点中から渡辺仁案が採用。1932年(昭和7年)着工、1937年(昭和12年)竣工、1938年(昭和13年)11月開館したのが現存する帝冠様式本館(重要文化財)である。1945年(昭和20年)3月10日の東京大空襲で閉館、宝物は群馬県・福島県等へ疎開して焼失を免れた。1947年(昭和22年)5月、新憲法公布の日に「国立博物館」と改称、宮内省から文部省管轄へ移管。1952年(昭和27年)「東京国立博物館」と改称。戦後は東洋館(1968年開館)・法隆寺宝物館(1962年/1999年新館)・平成館(1999年)を順次新設、2001年(平成13年)独立行政法人国立博物館管轄、2007年(平成19年)国立文化財機構施設となり今日に至る。
文化的背景と意義
東京国立博物館は2025年4月時点で国宝89件、重要文化財653件、法隆寺献納宝物319件を含む約12万件の文化財を所蔵し、日本国指定の美術工芸品国宝の約10%、重要文化財の約6%が当館に集中する。これは日本の文化財保護行政の中核施設であることを示す数字で、京都国立博物館・奈良国立博物館・九州国立博物館とともに国立文化財機構が運営する「四大国立博物館」の筆頭格を占める。建築的にも本館・表慶館の2棟が重要文化財指定を受け、明治-昭和の近代建築史を物語る貴重な遺産となっている。1965年のツタンカーメン展(295万人来場)、1974年のモナ・リザ展(151万人来場)、2017年の運慶展(60万人来場)、2022年の国宝展は150周年記念として平常展国宝89件を一堂に公開し全国から美術ファンが集った。映画『天地明察』『るろうに剣心』等のロケ地、NHKドラマ『芸能花舞台』の撮影地としても知られ、上野公園の文化拠点として国際的にも認知される日本文化の発信地となっている。
建築的詳細
本館(渡辺仁設計、1938年竣工)は鉄骨鉄筋コンクリート造2階建て、延床面積21,764平米。和洋折衷の「帝冠様式」を確立した代表作で、洋風躯体に入母屋造の瓦屋根を載せた独特の外観を持つ。中央階段室は石造装飾と大理石手摺で重厚、左右対称の展示室配置で日本美術通史を順路的に巡覧できる。表慶館(片山東熊設計、1909年開館)は石造及び煉瓦造2階建てのネオバロック様式で、中央ドーム+左右翼ドームの三連ドーム構成。正面エントランスを守る青銅獅子像、ドーム内部の天井絵画装飾、大理石モザイク床が宮廷建築家・片山ならではの絢爛さを伝える。東洋館(谷口吉郎設計、1968年開館)はコンクリート打放しのモダニズム建築で、水平線を強調した低層構成と石庭を組み合わせた東洋的抽象美を表現。平成館(安井建築設計事務所、1999年開館)は花崗岩外装の現代建築で、考古展示室と特別展会場を備える機能性重視の構成。本館の入母屋瓦屋根と表慶館の三連ドームが東博のシンボルとして上野公園のスカイラインを彩る。