ウェストミンスター寺院

シティ・オブ・ウェストミンスター · GB

1066年から続く戴冠式の場、 英国王朝の魂を刻む中世ゴシックの霊廟

ロンドン中心部シティ・オブ・ウェストミンスターに立つウェストミンスター寺院は、 960年頃創建のゴシック大聖堂。 1066年ウィリアム征服王以来 38 人の君主の戴冠式の場、 17 名の英国王と多数の偉人 (ニュートン・ダーウィン・ホーキング等) が眠る国家霊廟。 1987年にユネスコ世界文化遺産登録。

ベストシーズン・ベストタイム

3月-5月

復活祭 (3-4月) の特別礼拝、 観光客が増え始める前の快適期

★★★★★

6月-8月

気温20度前後で快適、 観光客最多で2-3時間待ちが標準で早朝戦略推奨

★★★★☆

9月-10月

観光客減と落ち着いた光線、 写真撮影と建築鑑賞のベストシーズン

★★★★★

11月-2月

クリスマス特別礼拝が世界的に有名、 12月25日は無料公開で長蛇の列

★★★★☆

見どころ TOP 3

  • 1.西正面ゴシックの双塔

    高さ69メートルの西塔双塔は1745年ニコラス・ホークスムア設計の後期ゴシック。 三重ポータルと薔薇窓の中央配置はフランス・ゴシックの規範に従いつつ、 英国独自の垂直性 (パーペンディキュラー様式) を強調する英国ゴシックの最高傑作。

    ディーンズ・ヤード側から正面、 朝の柔らかい光

  • 2.中央身廊と扇形ヴォールト

    高さ31メートルの中央身廊は英国最高の中世ゴシック空間で、 ヘンリー7世礼拝堂の扇形ヴォールト天井 (ファン・ヴォールト) は 16 世紀英国建築の絶頂。 王家の墓所が両側に立ち並ぶ「王の通り」として 800 年以上機能する聖堂中軸線。

    西扉口側から中央祭壇方向、 自然光の差し込む朝10時前後

  • 3.戴冠式の椅子と運命の石

    1300年エドワード1世の命で作られた木製戴冠椅は英国君主38人が腰掛けた歴史の証人。 椅子下に運命の石が一時設置され、 2023年チャールズ3世戴冠式でも使われた700年以上現役の聖具である。

    セント・エドワード礼拝堂横の展示、 自然光

物語・伝説

960年頃ベネディクト派修道院として創建、 1042年エドワード懺悔王が大聖堂建設を発願し1065年に献堂。 1066年クリスマス、 ウィリアム征服王の戴冠式以来38人の君主の戴冠の場となった。 13世紀ヘンリー3世がフランス・ゴシック様式に大改築、 16世紀ヘンリー7世礼拝堂で英国ゴシック完成。 17名の英国王とニュートン・ダーウィン・ホーキング等が眠り、 1066-2023年チャールズ3世まで戴冠式を全て執り行った国家霊廟。 1987年世界文化遺産登録。

こんな人におすすめ

英国王朝史と中世ゴシック建築に関心ある歴史マニア、 ニュートンやダーウィンの墓を訪ねたい科学愛好家、 ロンドン初訪問の世界遺産巡礼者、 戴冠式の歴史を体感したい英国王室ファン。 ウェストミンスター駅から徒歩5分。

現地で知るべき豆知識

  • 1.観光入場と礼拝参列は別々で、 礼拝中は無料で入れるが見学制限あり、 観光目的の入場券 (大人 27 ポンド) は事前オンライン予約で待ち時間短縮、 当日券は夏期 1-2 時間待ちが標準
  • 2.ヘンリー 7 世礼拝堂 (扇形ヴォールト天井) と詩人のコーナー (Poets' Corner、 シェイクスピア・ディケンズ等の墓碑) は必見、 内部撮影は禁止だが回廊 (Cloister) は撮影可能で建築学徒は午前中の自然光が狙い目
  • 3.毎日午後 5 時の Evensong (晩祷) は無料で参列可能、 聖歌隊の合唱が圧巻で世界中の合唱ファンが集まる別格体験、 観光ツアーが帰った後の静寂と並んで定番のロンドン名物となっている

訪問情報

アクセス
ロンドン地下鉄ジュビリー線/サークル線/ディストリクト線のウェストミンスター駅 (Westminster) から徒歩5分、 セント・ジェームズ・パーク駅から徒歩10分。
所要時間
本体見学1.5-2時間、 ヘンリー7世礼拝堂+詩人のコーナー含めて半日。
予算目安
観光入場料 大人27ポンド (約5000円)、 オーディオガイド込、 礼拝参列は無料。 (2024年時点)

周辺観光

徒歩2分のウェストミンスター宮殿+ビッグベン (世界遺産・構成資産)、 徒歩5分のバッキンガム宮殿 (王室公邸・夏期一般公開)、 徒歩10分のテムズ川岸とロンドン・アイで王都ロンドンの中核を体験できる。

詳しく知る

時間のある方向けの詳細情報。

年表

  1. 960年頃

    修道院創建

    カンタベリー大司教ダンスタンがベネディクト派修道院を創建、 ロンドン西部の沼地に「西の修道院」の意で命名

  2. 1042-1065年

    懺悔王の建設

    エドワード懺悔王が大聖堂建設を発願、 1065年12月28日献堂式、 王自身は1週間後死去で完成を見ずに崩御する

  3. 1066年12月25日

    ウィリアム征服王戴冠

    ウィリアム征服王のクリスマス戴冠式以来、 1066-2023年の38人英国君主の戴冠の場となる伝統が始動する

  4. 1245年

    ヘンリー3世大改築

    ヘンリー3世がフランス・ゴシック様式の現大聖堂建設を起工、 アミアン大聖堂を範に1517年まで継続改築

  5. 1503-1519年

    ヘンリー7世礼拝堂

    ヘンリー7世礼拝堂が扇形ヴォールト天井で完成、 英国ゴシックの絶頂 (パーペンディキュラー様式) を体現する

  6. 1540年

    修道院解散令

    ヘンリー8世の修道院解散令でベネディクト派修道院解散、 Royal Peculiar (王室直轄) として大聖堂機能継続

  7. 1727年

    ニュートン埋葬

    アイザック・ニュートンがウェストミンスター寺院に埋葬、 以後ダーウィン・ホーキング等の科学者の聖地となる

  8. 1745年

    西塔双塔完成

    ニコラス・ホークスムア設計の西塔双塔が完成、 高さ69メートルの後期ゴシック・リバイバルが現外観を確定

  9. 1953年

    エリザベス2世戴冠

    エリザベス2世戴冠式が執行、 世界初のテレビ生中継戴冠式で2700万人が視聴する戦後英国象徴的瞬間

  10. 1987年

    世界文化遺産登録

    ユネスコ世界文化遺産「ウェストミンスター宮殿・ウェストミンスター寺院・聖マーガレット教会」として一括登録

  11. 2018年

    ホーキング埋葬

    スティーヴン・ホーキングがニュートンとダーウィンの墓の隣に埋葬、 科学史の聖地としての地位が再確認される

  12. 2022年9月

    エリザベス2世葬儀

    70年治世のエリザベス2世葬儀が執行、 世界41億人がテレビ視聴する歴史的国際イベントとなる

  13. 2023年5月6日

    チャールズ3世戴冠

    チャールズ3世戴冠式が執行、 1300年エドワード1世以来の戴冠椅子が再び使われ伝統が継承される

歴史をもっと深く

ウェストミンスター寺院の確実な記録は 960 年頃、 カンタベリー大司教ダンスタンがベネディクト派修道院 (「西の修道院」の意) として創建した時点から。 1042 年に即位したエドワード懺悔王が大聖堂建設を発願、 1065 年 12 月 28 日に献堂 (王自身は 1 週間後死去)。 1066 年クリスマス、 ノルマンディー公ウィリアム (征服王) がここで戴冠式を執行、 以後 1066-2023 年の 957 年間に 38 人の君主の戴冠式の場となった。 13 世紀のヘンリー 3 世 (在位 1216-1272) が現建物の主要部分を起工 (1245 年)、 フランスのアミアン大聖堂・ランス大聖堂を範としたフランス・ゴシック様式の本格採用。 工事は 1517 年まで 270 年以上継続、 14 世紀の中央身廊・15 世紀のヘンリー 7 世礼拝堂 (扇形ヴォールト天井で英国ゴシック最高傑作)・16 世紀の北翼廊が段階的に完成。 1540 年ヘンリー 8 世の修道院解散令で修道院解散したが、 「Royal Peculiar」(王室直轄聖堂、 司教管轄外) として大聖堂機能継続。 17 世紀清教徒革命期もチャールズ 1 世処刑後の混乱を生き延び、 1660 年王政復古で宗教機能完全回復。 18 世紀にニコラス・ホークスムアが西塔双塔 (1745 年完成) を増築。 19 世紀以降は王家の戴冠式・葬儀・婚礼の場として機能継続、 1953 年エリザベス 2 世戴冠式 (世界初のテレビ生中継)、 1997 年ダイアナ妃葬儀、 2011 年ウィリアム王子+キャサリン婚儀、 2022 年エリザベス 2 世葬儀、 2023 年 5 月 6 日チャールズ 3 世戴冠式が執行。 1987 年にユネスコ世界文化遺産「ウェストミンスター宮殿・寺院・聖マーガレット教会」として一括登録。 寺院内には 17 名の英国王と科学者 (ニュートン・ダーウィン・ホーキング)・詩人 (ディケンズ・ハーディー)・政治家の墓所が集中する国家霊廟。 2023 年に新博物館 Queen's Diamond Jubilee Galleries が開館。

文化的背景と意義

ウェストミンスター寺院は英国王朝史の物質化された象徴であり、 ヨーロッパ最重要ゴシック建築の一つ。 ユネスコ登録基準は (1)(2)(4) で、 (1) ゴシック建築の傑作性、 (2) 英国独自のパーペンディキュラー様式の発展、 (4) 王室戴冠儀礼の継続性を評価。 「Royal Peculiar」(王室直轄、 司教管轄外) という独特の地位で国王が直接パトロンを務める英国国教会の特殊聖堂。 戴冠式・王室葬儀・王室婚儀の三大儀礼が全てここで行われ、 1066-2023 年の 957 年連続戴冠式という世界最長記録を持つ。 1953 年エリザベス 2 世戴冠式の世界初テレビ生中継 (2700 万人視聴) は戦後英国の象徴的瞬間。 詩人のコーナーはチョーサー以来の英文学者の聖地で、 ディケンズ・ハーディー・キプリング・テニスンの墓碑が並ぶ。 ニュートン・ダーウィン・ホーキングの墓は科学史巡礼の聖地。 2022 年エリザベス 2 世葬儀は世界 41 億人視聴の歴史的国際イベント。

建築的詳細

ウェストミンスター寺院は東西 156 メートル × 南北 75 メートル × 西塔高さ 69 メートル × 中央身廊高さ 31 メートルのフランス・ゴシック様式 (英国パーペンディキュラー様式混在)。 平面はラテン十字で、 西正面・中央身廊・翼廊・内陣・周回部・東端の Lady Chapel で構成。 主要部材は地元産ライゲートストーンと石灰岩。 西正面双塔は 1745 年ニコラス・ホークスムア設計の後期ゴシック・リバイバル、 三重ポータルと薔薇窓の規範構成。 中央身廊 (31 メートル × 100 メートル) は英国ゴシックで最高の天井を持つ。 ヘンリー 7 世礼拝堂 (1503-1519 年完成) の扇形ヴォールト天井はラスキンが「ヨーロッパで最も美しい礼拝堂」と評した極致。 内陣には戴冠椅子 (1300 年エドワード 1 世制作・木製樫材) が常設展示、 椅子下に運命の石 (1996 年スコットランド返還だが戴冠時のみ移送) が一時設置。 内部に 3300 体超の墓碑と 600 超の記念碑が集中、 「歩く博物館」と呼ばれる密度。

外部リンク

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