ロンドン塔
タワーハムレッツ・ロンドン特別区 · GB
1066年ノルマン征服から続く950年の王城、 王冠ジュエルとカラスの伝説を抱える世界遺産
ロンドン中心テムズ川北岸に立つロンドン塔は、 1078年ノルマン征服王ウィリアム1世が建てたホワイト・タワーを核に発展した王城・要塞・牢獄・処刑場・王冠庫を兼ねた複合建造物。 アン・ブーリンら2人の王妃を含む英国史の処刑場で、 王冠ジュエル・ヨーマン警備兵 (ビーフィーター)・伝説のカラスで知られる。 1988年世界文化遺産登録。
ベストシーズン・ベストタイム
気温10-18度で快適、 庭園の桜・水仙開花、 イースター祝祭で王冠ジュエル特別公開
★★★★★
気温20-25度で快適だが観光客最多、 入場待ち1-2時間、 早朝9時開門推奨
★★★★☆
気温15-20度で快適、 観光客減で快適、 ハロウィーン期は塔の処刑伝説テーマで人気
★★★★★
気温5-10度で寒いが観光客最少、 1月鍵の儀式 (Ceremony of the Keys) 拝観の絶好機
★★★★☆
見どころ TOP 3
1.伝説の塔の7羽のカラス
「カラスがロンドン塔を去ればイギリス滅ぶ」というチャールズ2世時代の伝説で、 7-8羽のカラスが王室管理下で飼育される。 翼の風切羽を一部切除し、 ヨーマン・レイヴンマスターが世話する伝統である。
ホワイト・タワー前の芝生でカラスのアップ、 自然光
2.現役の王冠ジュエル群
ジュエル・ハウス保管の王冠ジュエルは現役戴冠宝物で、 530カラット「アフリカの星」、 105カラット「コ・イ・ヌール」、 帝国王冠など総額60億ポンド超。 1303年から800年の保管伝統で世界唯一の現役王冠コレクションである。
ジュエル・ハウス入口の警備兵、 入館前撮影のみ
3.ヨーマン警備兵ビーフィーター
通称ビーフィーターとして知られるヨーマン・ウォーダーは1485年ヘンリー7世設立の王室親衛隊で、 朱・金・黒の制服姿で塔内ガイドツアーを担当。 英国軍22年以上経験者から選抜の37名エリートである。
正門前で制服姿のビーフィーター、 自然光
物語・伝説
こんな人におすすめ
現地で知るべき豆知識
- 1.「鍵の儀式」は700年継続の閉門儀式で、 毎晩21:53から10分間ヨーマン警備兵が塔の各門を施錠する儀式、 一般参観は無料だが英国王室公式で2-3ヶ月前から予約必須、 撮影禁止で歴史の息遣い体感できる稀有な体験
- 2.王冠ジュエルは入場時間帯指定制で、 朝9時開門直後または夕方16時以降が短時間待ち、 ピーク時は2時間待ちでサンドイッチ持参推奨、 ジュエル・ハウス内は撮影禁止で動く歩道に乗っての見学方式
- 3.ヨーマン警備兵 (ビーフィーター) のガイドツアーは1時間ごとの開催で英語のみ、 22年以上の英国軍経験者から選抜される37名の精鋭、 制服姿の彼らとの記念撮影と塔の処刑場・牢獄・伝説を巡る臨場感は塔観光の最大ハイライト
訪問情報
- アクセス
- 地下鉄District/Circle線タワーヒル駅から徒歩2分、 DLRタワーゲートウェイ駅から徒歩3分。 テムズ川クルーズでロンドン橋から接近も可能。
- 所要時間
- ホワイト・タワー+王冠ジュエル+ヨーマンツアーで3時間、 全構造物巡って半日。
- 予算目安
- 入場料 大人35ポンド (約6500円)、 王冠ジュエル込み、 オーディオガイド5ポンド。 (2024年時点)
周辺観光
徒歩5分のタワー・ブリッジ (1894年開通の跳ね橋、 内部博物館)、 徒歩10分のセント・キャサリン・ドック (元ロンドン港の倉庫街)、 テムズ川クルーズで20分のグリニッジ天文台 (子午線・本初子午線) との組合せで「ロンドン東部世界遺産+王室伝統」周遊が定番。
詳しく知る
時間のある方向けの詳細情報。
年表
- 1066年10月14日
ヘイスティングス
ノルマン公ウィリアム1世がハロルド王を破り、 イングランド征服を達成、 ロンドン塔建設の歴史的前提となる
- 1078年
ホワイト・タワー
ウィリアム1世が石造のホワイト・タワー (高さ27メートル) を起工、 ロンドン支配の拠点として機能する
- 1100年頃
塔完成
ホワイト・タワーが完成、 当時ヨーロッパ最大級の塔として国際的に注目される建築事業となる
- 1235年
王立動物園
ヘンリー3世が王立動物園 (Royal Menagerie) を塔内に開設、 1835年まで600年継続する歴史となる
- 1303年
王冠ジュエル保管
エドワード1世時代から王冠ジュエルが塔内ジュエル・ハウスに常時保管、 800年継続の伝統が始動する
- 1483年
塔の幼王子
エドワード4世の遺児エドワード5世とリチャード公が失踪、 リチャード3世関与説が400年の謎を生む
- 1485年
ヨーマン警備兵
ヘンリー7世が王室親衛隊ヨーマン警備兵 (ビーフィーター) を設立、 現役37名で世界最古級の親衛隊
- 1536年
アン・ブーリン処刑
ヘンリー8世の2番目の妃アン・ブーリンがタワー・グリーンで処刑、 英国史最大級のドラマとなる
- 1660年代
カラスの伝説
チャールズ2世時代に「カラスが去れば英国滅亡」の伝説が確立、 7-8羽の常時飼育が伝統となる
- 1941年5月
ヘス拘禁
ヒトラー副官ルドルフ・ヘスを一時拘禁、 ロンドン塔最後の政治犯として20世紀ナチス史と直結する
- 1988年12月
世界文化遺産登録
ユネスコ世界文化遺産に登録 (基準ii, iv)、 ノルマン軍事建築の傑作として国際保護対象となる
- 2023年5月
チャールズ3世戴冠
ロンドン塔保管の王冠ジュエルがチャールズ3世戴冠式で実使用、 現役王冠コレクションの伝統を継続する
歴史をもっと深く
ロンドン塔 (Tower of London) は1066年10月14日のヘイスティングスの戦いでアングロサクソン王ハロルドを破ったノルマン公ウィリアム1世 (在位1066-1087) が、 1078年にテムズ川北岸の旧ローマ城壁内に石造のホワイト・タワー (高さ27 m × 36 × 32 m、 ノルマン・キープ) を起工して以来の王城・要塞。 設計はギュンドルフ司教、 完成は1100年頃で、 当時ヨーロッパ最大級の塔だった。 12-13世紀リチャード1世 (獅子心王、 在位1189-1199)・ヘンリー3世 (在位1216-1272)・エドワード1世 (在位1272-1307) の各王が内塁壁 (13塔)・外塁壁・濠を増築、 1300年頃に現在の同心円城郭 (concentric castle) 構造が完成した。 機能は王居・要塞・武器庫・牢獄・処刑場・王冠庫・天文台・造幣局 (1279-1812)・王立動物園 (1235-1835) を兼ねる複合施設。 王冠ジュエルは1303年エドワード1世時代から塔内に保管 (一時例外あり)、 1485年ヘンリー7世がヨーマン警備兵 (Yeoman Warders、 通称ビーフィーター) を王室親衛隊として設立 (現役37名)、 1660年代チャールズ2世時代に「カラスがロンドン塔を去ればイギリスは滅ぶ」の伝説が確立。 処刑場としての歴史は: 1483年エドワード4世の遺児エドワード5世 (12) とリチャード公 (9) が「塔の幼王子」として失踪 (リチャード3世関与説)、 1535年トマス・モア処刑、 1536年アン・ブーリン (ヘンリー8世の2人目王妃) 処刑、 1542年キャサリン・ハワード (5人目王妃) 処刑、 1554年ジェーン・グレイ (9日女王、 16歳) 処刑、 1601年エセックス伯ロバート・デヴァルー処刑、 17世紀-18世紀の政治犯多数。 1660年王政復古後、 王冠ジュエル展示が観光化、 19世紀ヴィクトリア朝時代に大規模修復・観光地化。 第一次世界大戦中の1914-1916年ドイツ人スパイ11名処刑、 第二次世界大戦中の1941年5月ルドルフ・ヘス (ヒトラーの副官) を一時拘禁 (塔最後の囚人)、 1952年クレイ兄弟一時拘禁が「塔最後の犯罪者」記録。 「鍵の儀式」(Ceremony of the Keys) は700年継続の閉門儀式で毎晩21:53から執行、 一般参観可能。 1988年12月ユネスコ世界文化遺産登録 (基準ii, iv)。 2024年現在年間300万人 (国内外) が訪れ、 ロンドン観光トップ3アイコン。
文化的背景と意義
ロンドン塔は英国の王権・処刑場・王室伝統の集積で、 ノルマン征服から現代まで950年の英国史を体現する世界遺産。 ユネスコ登録基準 (2)(4) で評価、 (2) は中世ヨーロッパ城郭建築への影響、 (4) はノルマン軍事建築の傑作。 シェイクスピア『リチャード3世』『ヘンリー6世』『ヘンリー8世』に頻出、 「塔の幼王子」の謎は400年来の英国史最大級ミステリーで、 アン・ブーリン処刑場面は数百の文学作品に登場、 BBC『チューダーズ』、 映画『エリザベス』等で繰返し題材化。 王冠ジュエル (現役の戴冠宝物総額60億ポンド) は世界唯一の現役王冠コレクション、 1953年エリザベス2世戴冠式・2023年チャールズ3世戴冠式で実使用、 王室権威の物理的象徴。 「カラスの伝説」は1660年代起源で世界の城塞文化に類例なく、 BBCドキュメンタリーで繰返し紹介。 「ビーフィーター」は英国軍22年以上の精鋭から選抜され、 軍事・観光・儀礼を融合した独特の職位として国際的にユニーク。
建築的詳細
ロンドン塔は面積4.86ヘクタールの同心円城郭 (concentric castle) で、 中央のホワイト・タワー (1078-1100、 27 × 36 × 32 m、 ノルマン・キープ) を内塁壁 (13塔、 13世紀) と外塁壁 (6塔、 13世紀末) で取囲み、 周囲を濠 (1843年陸地化) で守る。 ホワイト・タワーは4階建てで、 1階武器庫・2階セント・ジョン教会 (ノルマン・チャペルの最高峰)・3階王居・4階大広間。 内塁壁の主要塔はベル・タワー (鐘楼+牢獄)・ブラッディ・タワー (「塔の幼王子」失踪推定地)・ソルト・タワー (政治犯落書き残存)・マーティン・タワー (王冠ジュエル一時保管 1669-1841) 等13塔。 トレーターズ・ゲートは囚人がテムズ川から船で連行される入口で処刑場行きの象徴。 ジュエル・ハウス (1994年再建) は王冠ジュエル展示の中央施設、 動く歩道で観覧。 タワー・グリーンは内塁壁内の芝生広場で王族・貴族専用処刑場、 1536年アン・ブーリン・1554年ジェーン・グレイがここで処刑、 公開処刑場のタワー・ヒル (城外北側) と区別される。