ストーンヘンジ

エイムズベリー · GB

5000年前の英国先史人が築いた、 太陽の運行を石に刻む世界最古級の環状列石

イングランド南部ソールズベリー平原に立つストーンヘンジは、 紀元前3000-2000年頃の新石器時代後期から青銅器時代初期に建てられた巨大環状列石。 サルセン石30基とブルーストーン80基が円形に配置され、 夏至の日の出と冬至の日没が中軸線と整列する太陽カレンダー機能を持つ。 1986年にユネスコ世界文化遺産に登録された英国先史時代の象徴である。

ベストシーズン・ベストタイム

3月-5月

野草と緑が芝生を覆い、 観光客もまだ少なく雨の少ない撮影シーズン

★★★★★

6月-8月

気温20度前後の快適期で6月21日夏至特別開放、 観光客最多で混雑大

★★★★☆

9月-10月

秋分の特別開放、 紅葉した平原と石の組合せが渋い英国らしい風景

★★★★★

11月-2月

観光客が激減し12月21日冬至特別開放、 寒風と霧の幻想的雰囲気

★★★☆☆

見どころ TOP 3

  • 1.サルセン石の三石塔群

    高さ約7メートル・重さ25トンのサルセン石30基が円形に立ち、 その上に水平梁石が継ぎ目なく配置される。 石器時代の組積技術の頂点とされ、 ホゾ穴とホゾ突起で接合する「精密石組」が4500年経過後も健在。

    西側パスから三石塔群を背景に午後の斜光、 影が長い15時以降

  • 2.ヒール・ストーンと夏至の日の出

    サークル北東40メートル先に立つヒール・ストーン (Heel Stone) と中央祭壇石を結ぶ軸線が夏至の日の出と完全一致。 6月21日早朝に世界中から数万人が集まり、 古代イギリス人と同じ太陽を仰ぐ祝祭が行われる。

    夏至 (6月21日) 04:50頃にヒール・ストーン側から、 サークル中央方向

  • 3.ブルーストーンの内側サークル

    サルセン石の内側に立つブルーストーン約80基は、 240キロ離れたウェールズ・プレセリ丘陵で切り出され先史人がここまで運んだ謎の石。 雨に濡れると青みを帯びる色彩と、 その輸送の謎が考古学最大のミステリーの一つ。

    雨上がりの夕方、 内側サークルのブルーストーンを近接で

物語・伝説

ストーンヘンジの建造は紀元前3100年頃の堀+土塁から始まり、 紀元前2500年頃にサルセン石とブルーストーンが立てられた。 240キロ離れたウェールズ・プレセリ丘陵から重さ4トンのブルーストーン80基を運んだ手段は今も謎。 夏至の日の出と冬至の日没が中軸線と整列することから、 太陽カレンダーまたは死者の儀式空間とされる。 1918年に個人所有から国家に寄贈、 1986年にユネスコ世界文化遺産登録された。

こんな人におすすめ

英国先史時代と古代天文に魅かれる歴史マニア、 ロンドン拠点の日帰り旅行を計画する観光客、 英国カントリーサイドの絶景を体験したい風景派、 夏至の特別開放を狙う精神文化探訪者。 ロンドンから列車+バスで約2時間半。

現地で知るべき豆知識

  • 1.通常は石から30メートル外側のパスからの観覧、 ストーンサークル内部に入れるのは夏至・冬至・春分・秋分の年4回のみ、 事前予約必須でチケットは1月先まで売切れ覚悟で取得
  • 2.ロンドンから日帰りツアーは約100ポンドで往復+ガイド付き、 ストーンヘンジ単独訪問はソールズベリー駅からバスで30分、 入場料は事前予約必須で当日券は売切れる場合多数
  • 3.新ビジターセンター (2013年開業) は石から1.5キロ離れ、 シャトルバスで石まで往復、 復元小屋4棟と出土品展示館の見学に1時間プラスで、 余裕を持って3時間滞在を推奨

訪問情報

アクセス
ロンドン・ウォータールー駅からソールズベリー駅まで列車約1時間半、 ソールズベリー駅前から Stonehenge Tour Bus で30分。 ロンドン日帰りツアー多数。
所要時間
現地での滞在は2-3時間、 ロンドン日帰りで往復含め10時間。
予算目安
入場料 大人24ポンド (約4500円・要事前予約)、 ロンドン日帰りツアー90-150ポンド。 (2024年時点)

周辺観光

車30分のソールズベリー大聖堂は世界有数の中世大聖堂、 車40分のオールド・サラム遺跡は鉄器時代から中世の城跡、 車60分のエイヴベリー石環 (世界遺産・構成資産) は世界最大の石環で組合せ訪問可能。

詳しく知る

時間のある方向けの詳細情報。

年表

  1. 前3100年頃

    第1期工事開始

    新石器時代後期に外周の環状土塁と堀が掘削、 オーブリー・ホール56個が内側に配置されストーンヘンジ前身が成立

  2. 前2500年頃

    ブルーストーン搬入

    240キロ離れたウェールズ・プレセリ丘陵から火成岩ブルーストーン80基余りが運ばれ環状に立てられる、 輸送手段は今も謎

  3. 前2500-2200年

    サルセン石建立

    30キロ北のマールバラ・ダウンズから重さ25トンのサルセン砂岩30基が運ばれ象徴的な三石塔群とサークルが完成

  4. 前1600年頃

    建造期間終了

    青銅器時代初期に建造期間が終わり、 以降は祭祀施設として継続使用、 周辺に多数の埋葬遺構が形成される

  5. 1-5世紀

    ローマ期使用

    ローマ占領期にも一部祭祀用途で使われた形跡、 出土したローマ硬貨や供物の痕跡が確認されている

  6. 1130年

    中世の文献記録

    ヘンリー・オブ・ハンティングドンの『英国史』にストーンヘンジの記述、 中世人にとっても既に伝説の存在

  7. 1620年

    ジェームズ1世調査

    建築家イニゴ・ジョーンズが王命で調査、 ローマ神殿説を提唱、 近代考古学への扉が開かれる

  8. 1740年

    スタックリー研究

    考古学者ウィリアム・スタックリーが詳細図面を作成、 古代ドルイドの聖地という仮説を初めて学術的に提唱する

  9. 1918年

    国家寄贈

    セシル・チャブ卿が個人所有のストーンヘンジ周辺地を英国国家 (現イングリッシュ・ヘリテージ) に寄贈する

  10. 1958-1964年

    大規模修復

    倒れたサルセン石の再起立とコンクリート基礎設置、 現在見られる景観の基盤がこの時期の修復で形成される

  11. 1986年12月

    世界文化遺産登録

    ユネスコ世界文化遺産「ストーンヘンジ・エイヴベリーと関連遺跡」として登録、 構成資産にエイヴベリー石環も含む

  12. 2013年

    新ビジターセンター開業

    石から1.5キロ離れた新ビジターセンターが開業、 旧A344号線閉鎖で遺跡周辺の景観が大幅改善される

  13. 2020年

    サルセン産地確定

    化学分析でサルセン石の産地が30キロ北のウェスト・ウッズと確定、 採石・運搬研究が新段階に入る

歴史をもっと深く

ストーンヘンジの建造期間は紀元前3100年から紀元前1600年頃までの約1500年に及ぶ多段階工事で構成される。 第1期 (紀元前3100年頃) は外周の環状土塁 (直径約110メートル) と堀の掘削から始まり、 内側に56個の穴 (オーブリー・ホール、 17世紀の博物学者ジョン・オーブリーが発見) が掘られた。 第2期 (紀元前2500年頃) でブルーストーン (火成岩、 長さ約2メートル・重さ約4トン、 80基余り) が建てられた。 ブルーストーンの産地は240キロ離れたウェールズ・ペンブルックシャーのプレセリ丘陵 (Preseli Hills) と判明 (2010-2020年代の発掘で採石場 Carn Goedog/Craig Rhos-y-Felin 確定)。 輸送方法は海+川+陸路の組合せ説が有力だが、 古代人がいかにして80基を運んだかは未解明の最大ミステリー。 第3期 (紀元前2500-2200年頃) で象徴的なサルセン石 (砂岩、 高さ約7メートル・重さ25トン、 30基が円形に配置) が立てられ、 上に水平梁石 (リンテル) が冠石として乗せられた。 サルセン石の出所はマールバラ・ダウンズ (約30キロ北) のウェスト・ウッズ採石場 (2020年確定)。 石器時代の技術でホゾ穴とホゾ突起 (mortise-and-tenon) で接合する精密石組が施され、 4500年経過後も組まれたまま。 ローマ占領期 (紀元1-5世紀) には祭祀用建造物として一部使われた形跡があり、 中世以降は忘却された。 17世紀の博物学者ジョン・オーブリー (John Aubrey、 1626-1697)、 18世紀のウィリアム・スタックリー (William Stukeley、 1687-1765) が考古学的調査の先駆け。 19-20世紀に石が傾く事故が頻発し、 1918年にセシル・チャブ卿が個人所有していた土地を英国国家に寄贈、 1958年に大規模修復で傾いた石を再起立 (現在見られる姿はこの時の復元)。 1986年12月にユネスコ世界文化遺産「ストーンヘンジ・エイヴベリーと関連遺跡」として登録 (構成資産はストーンヘンジ周辺と60キロ離れたエイヴベリー石環の複合)。 2013年に新ビジターセンターが開業 (石から1.5キロ離れた位置で景観保全)、 旧道A344号線が閉鎖され遺跡周辺の景観が大幅に改善された。

文化的背景と意義

ストーンヘンジは英国先史時代の象徴であり、 古代天文学・宗教・社会組織の三つの研究領域を交差させる遺産。 ユネスコ登録基準は (1)(2)(3) で、 (1) は人類創造的天才の傑作 (古代の精密石組技術)、 (2) は新石器・青銅器の建築様式の優秀例、 (3) は紀元前3-2千年紀のヨーロッパ先史文明の証言として評価。 用途は太陽カレンダー説 (夏至・冬至との整列)、 葬祭施設説 (周辺で多数の埋葬遺構)、 治癒の聖地説 (ブルーストーンの薬効信仰) などが提唱され単一説に絞れない。 1898年にウィリアム・ガウランドが基壇下から発見した出土物が考古学的調査の出発点。 現代では夏至 (6月21日) のドルイド儀式 (新ドルイド派の現代再構成) と冬至 (12月21日) の日没観察が観光イベント化、 数万人規模の集客となる。 日本人観光客にも親しまれ、 池田理代子・諸星大二郎ほか多くの作家が題材に取り上げている。 周辺地域には「ウィルトシャー州地形は英国最古」と呼ばれる先史遺跡が密集し、 ダーリントン・ウォールズ (採石・労働者村) やストーンヘンジ・カーソン (動物供儀址) との一体的解釈が進行中。

建築的詳細

ストーンヘンジの構造は外側から内側へ4層の同心円構成。 最外層は直径約110メートルの環状土塁と堀 (紀元前3100年頃)、 内側に56個のオーブリー・ホール (穴) が円周上に並ぶ。 第2層がサルセン・サークル (直径約33メートル) で砂岩30基 (高さ約4-5メートル、 重さ25トン) が立ち、 上に水平梁石30基 (各約7トン) が冠石として乗る。 第3層が馬蹄形のサルセン三石塔5基で、 中央祭壇石を囲んで開口部が北東方向 (夏至日の出) に向く。 第4層が内側サークルのブルーストーン約80基 (現存43基)。 接合はホゾ穴とホゾ突起、 梁石同士は鳩尾で連結する木造建築由来の技法。 北東40メートルにヒール・ストーン (高さ約4.7メートル) が立ち、 サークル中央から見ると夏至の日の出が真上に重なる。

外部リンク

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