コロッセオ

ローマ・カピターレ · IT

古代ローマが残した世界最大の円形闘技場、 西暦80年から立つ石の象徴

イタリア・ローマの中心に立つコロッセオは、 西暦70年にウェスパシアヌス帝が着工し80年にティトゥス帝が完成させた古代ローマ最大の円形闘技場。 5万人を収容し剣闘士の闘技や模擬海戦が行われた高さ約48メートルの石造建築は、 1980年にローマ歴史地区として世界遺産に登録された西洋古代建築の象徴である。

ベストシーズン・ベストタイム

4月-5月

ローマの気候が最も穏やかで観光ベスト、 4月21日のローマ建国記念日は無料開放日

★★★★★

6月-8月

夜間延長開館 (21時-23時) 期間で日中の暑さを避けながらライトアップ鑑賞可能

★★★★☆

9月-10月

夏の混雑が落ち着き気候も穏やか、 撮影と探訪に最適な隠れた人気のシーズン

★★★★★

12月-2月

観光客が最も少なく行列なしで入場できる、 ローマの石造建築は冬の青空とよく映える

★★★★☆

見どころ TOP 3

  • 1.4階建ての石造アーケード外観

    高さ約48メートル・周囲527メートルの楕円形外壁は、 ドーリア式・イオニア式・コリント式・コンポジット式の4階構成のアーケード。 80列の入口アーチと半地下を含む4層の観客席が機能美と装飾美を兼ねた古代建築の頂点を示す。

    コンスタンティヌス凱旋門側の南西から朝光下で外観全景を

  • 2.アリーナ地下のヒポゲウム

    現在床が一部復元されたアリーナの地下にはヒポゲウムと呼ばれる地下迷路が広がる。 剣闘士・猛獣・舞台装置を昇降させた32の機械式リフトと80の小部屋が残り、 石造の壁面に当時のロープ溝も残る古代エンジニアリングの精華。

    アリーナ床から地下構造を見下ろす南北軸の構図

  • 3.ライトアップされる夜の絶景

    日没後にコロッセオ外壁がオレンジ色の照明で浮かび上がり、 古代ローマの威厳と現代都市が融合する圧巻のシーンに。 死刑制度廃止運動を支持する国の動きに合わせ、 死刑制度撤廃決議のあった日には金色のライトアップが行われる象徴的な舞台でもある。

    メトロ Colosseo 駅出口前の歩道橋から長時間露光で全景を

物語・伝説

西暦70年、 フラウィウス朝を開いたウェスパシアヌス帝が暴君ネロのドムス・アウレア跡地の人工湖を埋めて建設を開始した。 80年に息子ティトゥス帝が完成させ、 落成記念に100日間連続で剣闘士試合・模擬海戦・猛獣狩りが行われ約9000頭の動物が殺された。 中世にはローマ市民の住居・採石場として石材が転用され半壊したが、 1749年に教皇ベネディクトゥス14世がキリスト教殉教者の聖地として保護を命じ、 19世紀以降の発掘・修復を経て今も古代ローマ帝国の威光を伝え続ける。

こんな人におすすめ

古代ローマ史と剣闘士文化に魅かれる歴史マニア、 4 様式アーケード等の古代建築美を体感したい建築愛好家、 「ローマの休日」「グラディエーター」等の映画ロケ地巡りをしたい旅行者、 西洋古代史を学校で学ぶ家族連れ。 ローマ・テルミニ駅から地下鉄で4分。

現地で知るべき豆知識

  • 1.公式チケットは事前 web 予約が必須で当日券は長蛇の列、 「Colosseum + Roman Forum + Palatine Hill」共通券 (24 時間有効) が最お得、 朝 8 時 30 分の開場直後を狙うと混雑回避できる
  • 2.アリーナ床+地下ヒポゲウム見学は別料金の有料追加ツアーだが、 通常コースでは見られない剣闘士控室や舞台装置リフトの真下を歩ける希少体験で歴史マニアには絶対外せない
  • 3.コロッセオ駅からの導線では入場ゲート前のスリ・偽ガイド勧誘が常態化、 公式 ID 付きガイド以外には決して話しかけられないこと、 入場直前に貴重品を前面ポケットへ移動するのが鉄則

訪問情報

アクセス
ローマ・テルミニ駅から地下鉄B線で約4分の「Colosseo」駅下車徒歩1分。 フィウミチーノ空港からはレオナルド・エクスプレス + 地下鉄で約45分。
所要時間
コロッセオ単体で1.5時間、 フォロ・ロマーノ + パラティーノの丘含めて半日が目安。
予算目安
通常チケット 大人18ユーロ・25歳以下2ユーロ・17歳以下無料。 アリーナ追加4ユーロ。 24時間有効の共通券あり。 (2024年時点)

周辺観光

徒歩5分のフォロ・ロマーノ・パラティーノの丘は古代ローマ帝国の中心地で共通券で組合せ可。 メトロで数駅のヴァチカン市国・サン・ピエトロ大聖堂、 トレヴィの泉、 スペイン広場、 パンテオンも徒歩か地下鉄で30分圏内、 ローマ観光の起点となる。

詳しく知る

時間のある方向けの詳細情報。

年表

  1. 70年

    ウェスパシアヌス帝の着工

    ネロ帝のドムス・アウレア跡地の人工湖を埋立て、 市民の娯楽の場として円形闘技場の建設が始まる

  2. 80年

    ティトゥス帝の完成

    建設開始から10年で4階構成の主要部が完成、 落成記念に100日間連続で剣闘士試合・模擬海戦が行われた

  3. 81-96年

    ドミティアヌス帝の改修

    最上層の追加と地下ヒポゲウムの整備により5万人収容と機械式舞台装置を備える完成形となる

  4. 217年

    落雷で大火災

    落雷による大火災で大きく損傷、 アレクサンデル・セウェルス帝期にかけて長期修復が行われる

  5. 404年

    剣闘士試合の廃止

    ホノリウス帝が剣闘士試合を全面禁止、 円形闘技場としての機能が事実上終わりを告げる

  6. 1349年

    地震で外壁崩壊

    イタリア中部地震で南側外壁の三分の一が崩落、 中世の石材採取と相まって現在の姿に近づく

  7. 1749年

    殉教者の聖地として保護

    教皇ベネディクトゥス14世がキリスト教殉教者の聖地として保護を命じ、 採石を禁止した

  8. 1933年

    ファシスト政権下の整備

    ムッソリーニ政権下で大規模な考古学整備、 凱旋道路 (現フォリ・インペリアリ通り) の沿線に組込まれる

  9. 1980年12月

    世界文化遺産登録

    ローマ歴史地区・教皇領・サン・パオロ大聖堂とともにユネスコ世界文化遺産に登録される

  10. 2007年

    新・世界七不思議に選出

    万里の長城・ペトラ・マチュピチュ等とともに新・世界七不思議の一つに選定、 観光価値が再認識される

  11. 2010-2016年

    トッズ財団の修復事業

    トッズ社の2500万ユーロ寄付で全面修復、 黒ずんだ外壁が古代の白色に近い色合いを取り戻す

  12. 2018年

    金色ライトアップの慣習

    死刑制度撤廃を支持する各国の決議日にコロッセオが金色にライトアップされる慣習が定着する

歴史をもっと深く

コロッセオの正式名称はフラウィウス円形闘技場 (Amphitheatrum Flavium)、 ウェスパシアヌス帝が西暦70年に着工した。 建設地はネロ帝の壮大な宮殿ドムス・アウレアの庭園にあった人工湖 (スタグヌム・ネロニス) を埋立てた跡地で、 暴君ネロの私的空間を市民の娯楽の場へ転換するという政治的メッセージを込めた配置だった。 80年に2代目皇帝ティトゥス帝が完成させ、 落成記念興行は100日間連続で開催され約9000頭の野獣と多数の剣闘士が殺された。 ドミティアヌス帝 (在位81-96年) の時代に最上層の追加と地下ヒポゲウムの整備が完了し、 5万人を収容する古代世界最大の円形闘技場となった。 西暦217年に落雷で大規模な火災に見舞われ、 アレクサンデル・セウェルス帝の時代まで修復が続いた。 中世に入ると剣闘士試合は404年のホノリウス帝期に廃止され、 6世紀には闘技場として機能を失った。 中世にはローマ市民の住居・要塞として転用され、 12-13世紀のフランジパニ家・アンニーバルディ家がここを城塞化、 14世紀の地震で南側外壁の三分の一が崩落した。 ルネサンス期から近世にかけて石材が採掘されサン・ピエトロ大聖堂等の建設に転用、 ヴェネツィア宮殿・カンチェッレリーア宮殿の石材としても使われ建築物は半壊した。 1749年、 教皇ベネディクトゥス14世がコロッセオをキリスト教殉教者の聖地として保護を命じ、 十字架像を中央に据えて以後の採石を禁止した (実際にはキリスト教徒殉教の史実は薄いが伝統として継承)。 19世紀以降に本格的な考古学調査と修復が始まり、 ファシスト政権下の1933年に大規模整備、 1980年12月にローマ歴史地区・教皇庁治外法権領域・聖パオロ・フオリ・レ・ムーラ大聖堂とともにユネスコ世界文化遺産に登録された。 2010-2016年にトッズ財団の2500万ユーロ寄付で全面修復が行われ、 黒ずんだ外壁が古代の白色に近い色合いを取り戻した。 2018年からは死刑制度撤廃を支持する象徴的ライトアップ (金色) が世界各国の死刑廃止決議日に実施されている。

文化的背景と意義

コロッセオは古代ローマ建築の頂点とされる4階構成の楕円形円形闘技場で、 高さ48メートル・長径188メートル・短径156メートル・周囲527メートルの石造建築。 西洋古代建築の象徴として、 ローマ史を扱う映画 (『ベン・ハー』『グラディエーター』『ローマの休日』『ローマ帝国の興亡』等) や文学・芸術作品の最重要モチーフとなってきた。 1980年のユネスコ世界文化遺産登録は「ローマ歴史地区、 教皇領、 サン・パオロ・フオリ・レ・ムーラ大聖堂」の構成資産の中核として認められ、 登録基準(1)(2)(3)(4)(6) を全て満たす数少ない例。 「世界の七不思議」(新七不思議、 2007年選定) にも選ばれ、 年間約700万人の観光客が訪れるイタリア最大の観光資源。 死刑制度撤廃運動の象徴としても、 各国が死刑廃止を決議した夜にコロッセオが金色にライトアップされる慣習が国際的に定着している。 ローマ・カトリック教会では復活祭前の金曜日 (聖金曜日) に教皇主導の十字架の道行祭儀がコロッセオで行われ、 中世以来のキリスト教殉教者追悼の伝統を継承している。

建築的詳細

コロッセオは長径188メートル・短径156メートル・周囲527メートルの楕円形平面、 4階建てで高さ48メートルの石造建築。 外壁は1階ドーリア式・2階イオニア式・3階コリント式・4階コンポジット式 (柱頭装飾) のアーケード構成で、 古代ギリシャ建築の3様式とローマ独自のコンポジット式を一棟に積層した百科全書的意匠を持つ。 主要建材はトラバーチン (石灰岩) で、 内部は凝灰岩・煉瓦・古代ローマンコンクリート (ポッツォラーナ火山灰使用) を多用し、 鉄筋なしで4階建て構造を実現した古代エンジニアリングの粋。 観客席は身分階層別に4層 (元老院席・騎士階級席・自由市民席・女性奴隷席) に区分され、 80列のアーチ入口で5万人が15分以内に退場できる動線設計が施された。 アリーナ床の下には地下迷路ヒポゲウム (深さ約6メートル) が広がり、 32の機械式リフトと80の小部屋が剣闘士・猛獣・舞台装置を瞬時にアリーナ表面へ送り出した。 屋根代わりの巨大な日除け帆布 (ヴェラリウム) は地中海沿岸から動員された海軍水兵の操船技術で操作され、 観客席全体に日陰を作る当時最大の繊維建築だった。

外部リンク

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